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ライオンズ ゲート プロジェクト



「橋からボルトが降ってくる」

と、ライオンズ ゲート ブリッジの下を通るタンカーの乗組員が言っているらしい、そんな噂がバンクーバーでささやかれるようになってから久しい。

60年前に耐久年数50年をめどに建設されたバンクーバーのランドマークは、耐用年数を過ぎて9年目を迎えようとしている。
現状での安全性への不安、新しい橋が建設された場合に負担せざるを得なくなるであろう通行料への反発、工事による自然環境破壊への懸念など、様々な論議が交わされているが、最終的な方針の決定を見ないまま現在に至っているのだ。

ライオンズ ゲート ブリッジの建設、管理の具体的な提案を、現在当局は広く一般から募集している。
BCTFA(BC Trans-portation Financing Authority)の作成した一般公募要綱から「ライオンズ ゲート プロジェクト」を紹介する。




Where?:

ブリティッシュ・コロンビア(BC)州はカナダ太平洋沿岸に位置し、豊かな天然資源、希少な野生動物とその独特な生態系で世界的に知られている。

総面積はフランスとドイツを合わせたより広く、日本の面積の2.7倍である。海岸線は深く入り組み、数多くの島々が点在し、本土部分は太平洋岸からロッキー山脈の最高峰にまで達する。

総人口は390万人、強く競争力のある経済と多民族・多様文化を尊重する政策が、カナダの他州や世界各国からの移住者を引き付けている。

バンクーバーはBC州第一の都市(ただし州都はビクトリア)で、アジアからの玄関口として急成長を続けている。
近隣の衛星都市を含むバンクーバー圏の総人口は、現在180万人である。

ライオンズゲートブリッジはバラード入り江の"ファーストナロー"と呼ばれる地点にかかる、バンクーバーのスタンレーパークとノースショー(ノースバンクーバー、ウェストバンクーバーを含む北部山岳地帯)を結ぶ橋。

北米最大のスキーリゾート、ウィスラーやバンクーバー島と本土を結ぶフェリーが就航しているホーシューベイ港への通行客も利用する。




History:

1884年 "バラード入り江・トンネル&橋会社"がカナダ政府からトンネルの建設許可を得る。

1900年ころ 橋の建設への要望が高まり、実現へ向けて具体的に動き始める。

1927年 バンクーバー市民の住民投票でスタンレーパークを横断する道路の建設が否決される。

1930年 横断道路についての議論が再浮上する。地元の実業家テイラーが英国政府に"バラード入り江への架橋がもたらす投資効果"を訴える。

1931年 テイラーは、英国ビール産業の名士、サー・アーサー・ギネスからの財政支援の確約を取り付ける。
同時にテイラーの"ファースト・ナロー・ブリッジ・カンパニー"は、現存するすべての「橋に関する特許」を購入した。

バンクーバー市とノースショーの各自治体から橋の建設許可、バンクーバー市公園&レクレーション管理局からスタンレーパークを横切る道路の建設許可、そしてバンクーバー市当局から通行料金徴収所設置の許可を得る。
連邦政府が橋の建設を認める方針を固める。

1933年 政治的論争が連邦政府との間に起こる。出入港する船の航行を妨げるとの理由で連邦政府が橋の建設,許可の最終決定を延期する。

1936年 粘り強い交渉と嘆願の末、最終的な建設許可が出される。

1937年 7月7日 工事開始

1938年 11月12日 5,616台の車輌が25セントの通行料を払って橋を渡る。

1939年 5月29日 英国王ジョージ6世とエリザベス女王が出席して公式の開通式が行われる。
橋の建設費用は約6百万カナダドル(当時)。

民営事業であるため、建設費用と維持管理費は通行料金で賄われなければならない。
すべての橋利用者(馬も含む)は通行料を支払った。
橋の北岸にはライオンと呼ばれる対になった山頂がそびえ、頂を雪が覆うことがあった。
ライオンはあたかも、眼下に広がる港の守り神であるかのように見えた。
橋の開通に先立って、バンクーバー在住の彫刻家、チャールズ・マレガがライオンのモニュメント制作の依頼を受け、大きな石の守り神は現在も橋の南の入り口の両側に立っている。

1955年 1月 BC州政府が5,959,060カナダドル(当時)で橋を買い取る。料金所は残される。

1963年 4月1日 料金所が廃止される。




Today:


ライオンズゲートブリッジ

1日6万〜7万台の車輌が渡る。通勤などで毎日利用する車輌の割合は40%。3車線 のこの橋の年間通行車輌は、2千5百万台。

ライオンズゲートブリッジは環太平洋への玄関口で、世界最大級の天然港であるバンクーバー港の入り口に位置する。

キャピラノ川の三角州とノースショー、400ヘクタールのスタンレーパーク(半島)など合わせて、このエリアの総面積は約15,100平方Km、海岸線総延長156.8Km。バラード入り江の幅はライオンズゲートブリッジがかかるところで500メートル。

1955年の買い取り以来、州政府が維持管理、修復をしてきた。大規模な補修工事は1959、1963、1974、1975年にそれぞれ実施されている。
しかし、橋のコンディションが年々悪化していることは明らかで、早急に手を打つ必要があることも明白だ。

トンネルを掘る、橋脚を広げる、新しい橋を架ける、現在の橋で補修工事をする・・。
様々なアイディアが出てきた。

1993年に州政府は広く一般からライオンズゲートブリッジの架け替え、補修のアイディアを募集するために公開コンサルタントプロセス"Choices"を設置した。
Choicesでは、提出された技術、環境保護に関するすべての意見が検討され、最終的には90以上の意見が評価を受けた。

改修に際しての橋に位置としては「コスト」「在来道路との接続」の両面をクリアできるという理由で、現在橋がかかている位置が最良の選択であるという結論が得られている。




Decision:

1997年4月18日、州はライオンズゲートブリッジについて、「現在の位置に、新しく4車線の橋を架ける」ことが望ましいと発表した。
理由は、車輌交通の安全性の向上、渋滞の緩和、緊急自動車の走行を容易に、歩行者と自転車の安全性の向上、スタンレーパーク内の騒音と交通量を減らすため、など。

さらに州政府は設計、建設、運営を民間と公共のパートナーシップで行うことを決めた。
申し出がない場合や環境保護上受け入れられない場合は政府が、現在の3車線の橋と歩道を7千万カナダドル(約70億円)の予算で補修する。

地元自治体は民間企業から提出された案の選出に参加する。選出された案はBC州環境アセスメント法をクリアしなければならない。




Public/Private Partnership:

民間セクターから提出される案は次の条件を満たさなければならない。

  • 中央分離帯で仕切られた北行き南行き各2車線ずつの計4車線。 スタンレーパーク内の交通を減らすか無くする。
  • 公園にいかなる悪影響も与えてはいけない。
  • 近隣の交通に与える影響が考慮されていなければならない。
  • 州政府が用意する7千万カナダドル(約70億円)に基づいた資金計画が盛り込まれていなければならない。それ以上の財政の確保は政府にたよってはならない。
    投資の回収には通行料の徴収という方法がとられるであろう。

プロジェクトチームは、これらの最低必要条件を軸に入札を行うが、クリエイティブな案、既成の枠にとらわれないユニークな提案を歓迎している。